「骨伝導イヤホンをゲオが2,980円で販売。」
このニュースを見て、高価で安易には手を出しにくいと思っていた骨伝導イヤホンへのハードルが下がり、一気に欲しくなってしまった人も多いのではないでしょうか。
かくいう筆者もその一人。
毎日執筆中にBluetoothイヤホンで環境音や真業を聴くので、便利な最新技術を搭載したイヤホンが破格のお値段で購入できるのは気になって仕方がありません。
ただ、「骨伝導」という言葉に感じる不安感を拭えず、長く購入を躊躇っていました。
そこで今回は、骨伝導とは何か。そして骨伝導イヤホンにはどんなメリット・デメリットがあるのか。科学的根拠を徹底調査しましたのでお伝えします。
骨伝導イヤホンに興味がある方、耳にはめるイヤホンに不満を感じている方、必見です。
骨伝導イヤホンの価格破壊!ゲオの骨伝導ワイヤレスイヤホンがこれ!
筆者が購入したのが、この骨伝導ワイヤレスイヤホンです。
カラーは3色展開。
店頭に出向いたので、実物を見てREDの絶妙な色味が気になって悩みましたが、無難にBLACKを選びました。
こちらが商品の詳細情報です。
Bluetoothバージョン5.0に対応しています。受信距離も10メートルもあるので、家の中でフラフラしても、音途切れの心配はありません。
筆者の場合、1日中(14時間近く)執筆しつづけることも少なくないので、Bluetoothイヤホンの連続再生時間と充電に要する時間はとても気になります。
購入前に調べた充電に要する時間の情報をまとめてみました。
最大連続再生時間 | 約7時間 |
連続待機時間 | 約200時間 |
充電時間 | 約2.5時間 |
上記はゲオの公式HPに記載されている内容です。実際に使ってみた体感としても、最大連続再生時間約7時間は妥当だと感じています。8時間弱は使えている印象です。
ゲオの骨伝導ワイヤレスイヤホンに期待したこと
耳の穴を塞がない。
耳の穴にイヤホンを直接刺さなくていい。
これが、骨伝導ワイヤレスイヤホンに最も強く感じた魅力です。
今までBluetoothタイプで耳に差し込むタイプのイヤホンをいくつも使ってきました。
既存のBluetoothイヤホンに感じてきた不満。骨伝導ワイヤレスイヤホンに興味を持ったきっかけは以下のようなものです。
・長時間使用するので、耳の穴が痛い
→体調が悪いと、耳とイヤホンの接触する部分の皮膚がかぶれて、できものができる
・耳の穴が小さいので、耳にはめるタイプのものはサイズが合わないことがある
・ゴムの部分を小さく変えても、動いた拍子にイヤホンが落下する
→水没させたことも数回・・・
・ランニングやストレッチするときは、落下するので使えない
耳の穴が小さい、Bluetoothイヤホンをしたまま歩き回る、といった筆者の個人的特徴の影響は大きいものの、一番辛いと感じたのが耳の穴が痛いこと。
そして、ポロリと落として水没させることです。
こういった経緯で、耳の穴を塞がない骨伝導ワイヤレスイヤホンに興味を持ちました。
骨伝導ワイヤレスイヤホン購入前に感じた不安
骨伝導ワイヤレスイヤホンは便利そうだと興味津々であったものの、購入を躊躇うこと3ヶ月。
その理由が以下です。
・骨伝導という言葉が怖い、体に悪そう
・値段が高い(個人の印象です)
高価なものを購入して、健康に良くなかったら目も当てられません。
骨伝導イヤホンはまだ新しい製品であり、オーディオ機器は全般に価格設定も日用品の中では高めなのは決して珍しいことではありません。
ところが価格というネックを軽々突破したゲオの骨伝導ワイヤレスイヤホンには、このお値段なら試してみたいと思わせる魅力がありました。
骨を振動させる骨伝導は危険なのか?
それでも拭えない不安。それが、骨を振るわせる骨伝導という技術に対する懸念です。
「骨を震わせて、健康に悪影響はないのだろうか。」
その不安がなかなか拭えませんでした。
そこで骨伝導の安全性を科学的視点で確認しようと、あれこれの資料や文献、論文を読み漁って得た結果、安心して購入するに至りました。
「骨を振るわせる」という事に対して猜疑心の塊であったところから、納得して購入するに至った骨伝導に関する科学的データを、わかりやすくまとめていきます。
骨伝導は危険?1:音を認識する2つの仕組み
私たちは何の疑いもなく、音は耳で聞いている。と認識しているのではないでしょうか。
しかし実際には音は空気の振動にすぎません。さまざまな波長の異なる空気の振動を耳が集め、鼓膜を振動させる。そして鼓膜で発生した振動情報が脳に伝わり、音として脳が再構成し認識しているに過ぎません。
耳は音の振動を集める器官の一つであり、音を認識、判断しているのは脳です。
そして音という振動情報を集める方法はもう一つあります。
それが骨伝導です。
骨も音を聞いている
骨伝導をわかりやすくするために、一つ例を挙げます。
音楽家としていくつもの伝説的名曲を送り出したベートーベン。彼は晩年、耳の機能の低下に悩んでいたことは有名です。
にもかかわらず、ベートーベンは作曲活動を続けることができました。聴力に不自由がありながらも、もちろん音も認識できていたと言われています。
なぜでしょうか。
ここで注目したいのが骨伝導です。
ベートーベンの場合は、ピアノによる空気の振動を十分に捉えられなくなった耳の代わりに、指揮棒を口にくわえ、その先端をピアノに押し付けたと伝えられています。
ピアノの発生させる空気の振動(音)を指揮棒の先端で捉え、これを骨に直接伝えて音を集めようとしたのです。
ピアノは鍵盤を弾く振動、そしてピアノ自体がその音を増幅させることで、大きな振動(音)を発生させています。
人間の歯は露出した骨の一部ですから、指揮棒で感知した振動を骨に伝え、歯や頭蓋骨の振動を介して脳に音を認識させたのでした。
自分が聞いている声と人が聞いている自分の声の違い
もう一つの例を挙げましょう。
あなたは自分の声を録音機器に録って聞いたことはありますか。この時、日頃から自分の声として認識している声(音)とあまりにも違うことに驚いた経験はないでしょうか。
この自分が聞いている自分の声(音)と、人が聞いている自分の声(音)の違いは、骨伝導によって生まれています。
私たち自身が聞いている自分の声は、耳だけでなく自分の体全体、そして骨の振動を介して脳に伝わって認識されている声(音)です。
一方の他の人が聞いている自分の声は、空気の振動を相手の耳の鼓膜を介して脳に伝えたことで認識されています。
つまり、自分が聞いている自分の声は骨伝導の影響を受けている声(振動)。
人が聞いている自分の声は、耳が集めた振動という違いがあると言えます。
そのために自分が聞いている自分の声は、人が聞いている自分の声と差異が発生することが多いのです。
骨伝導は日常的に行われている音の聞き方
私たちは、耳のみで空気の振動(音)をキャッチしているわけではありません。
肌に触れる振動、肌や筋肉を介して骨を揺らす振動。こういったさまざまな方法で空気の振動を感じ、それを脳で再構成して、音として認識しています。
骨を振動させるという言葉を聞き慣れない人は、健康に悪影響があるのではないかと不安になるかもしれません。
しかし骨は体の中で決して動かないように固定されているものではなく、むしろ筋肉の動きに合わせて柔軟に動いています。
骨が柔軟に動くことで、強すぎる振動を逃して体守り、また音(空気の振動)を全方位から集めて身を安全に保つための判断ができるのです。
骨伝導イヤホンは、私たちが日常的に行っている、振動を全身を使って集めて音を聞く仕組みを活用したものです。そのため科学的にも安全性は高いと考えられています。
骨伝導ワイヤレスイヤホンのメリット・デメリット
骨伝導という仕組みが安全なものであること。むしろ私たちは日々の暮らしで絶えず骨伝導を活用して周囲の情報を集めていることが理解できました。
次に、骨伝導ワイヤレスイヤホンのメリット。そしてどんなに素晴らしいものであっても不可避なデメリットを確認していきましょう。
骨伝導ワイヤレスイヤホンのメリットとデメリットをまとめたものが以下の表です。メリットととデメリットには相関関係があるので、並列させてみました。
メリット | デメリット |
耳の穴を塞がない | 音漏れする可能性がある |
鼓膜を刺激しない | 音質が従来のイヤホンより劣ることがある |
メリット1:骨伝導ワイヤレスイヤホンは耳の穴を塞がない
骨伝導ワイヤレスイヤホンは、耳珠の上部の骨に機器を当てて振動を骨に伝えます。そのため耳の穴を塞いで、鼓膜が振動を集めるのを邪魔しません。
また筆者のように耳の穴が小さい人や長時間イヤホンを使用する人にとっては、耳の穴が痛くなるデメリットを回避できる嬉しいポイントです。
耳の穴を塞ぐ形で装着する従来のイヤホンは、外部の音が聞こえにくくなる点が大きなデメリットです。
骨伝導でも空気の振動を感じ、音を認識できるものの、鼓膜を介した音の認識には劣ります。聴覚としての機能は鼓膜には敵いません。
耳の穴を塞いだ状態では耳の外側の音を感知しにくく、声をかけられても気づかない、環境音に気づきにくいといった可能性が多分にあります。
乗り物に乗りながら、また外を歩く際にイヤホンで音を聞きながら、のイヤホンのながら使用が危険視されるのはこのためです。
耳の穴がオープンな状態なら、耳からの集音効果も期待できるため、より安全にイヤホンを使用できると言えます。
ただイヤホンから伝わる音声に集中し過ぎて、耳からの集音情報の認識が疎かになる危険もあります。イヤホンのながら使用は、ながらスマホ同様、細心の注意と配慮が必要です。
メリット2:骨伝導ワイヤレスイヤホンなら鼓膜を刺激しない
鼓膜ではなく、骨を振動させて音を認識する骨伝導ワイヤレスイヤホンなら、鼓膜を強くし過ぎた結果聴力が低下する懸念も低減できます。
鼓膜とは、厚さ0.1ミリ程度の半透明の膜です。上皮層、中間層、粘膜層の3層で構成されています。
非常に繊細であるからこそ細かな空気の振動もキャッチできる反面、強い刺激を与え続けることで機能が著しく低下することがあります。
イヤホンの普及により、いつでもどこでも好きな音を聞ける反面、大音量で長時間にわたり鼓膜を刺激し続けることで聴覚機能が低下。聞こえにくいという症状に陥る人が増えていると言われます。
この点で、骨伝導ワイヤレスイヤホンは鼓膜を刺激しませんから、繊細な鼓膜の健康維持に貢献することが期待できます。
デメリット1:骨伝導ワイヤレスイヤホンは音漏れする可能性がある
骨伝導ワイヤレスイヤホンの最大のメリットとして指摘されるのが、音漏れです。
従来の耳の穴に機器を差し込んで深度を鼓膜に届けるイヤホンと違い、骨伝導イヤホンは耳の外側に装着します。
そのためあまりに大きな音(振動)を出したり、周囲の人との距離が近い場所で使用した場合、空気の振動が周囲の人にも伝わった結果、他に人にも振動が音として認識される。音が他の人に漏れ聞こえた、という状態になることがあります。
ただこれは骨伝導ワイヤレスイヤホンに限らず、健康のため、そして人間として生きる上でのマナーの範疇ではないでしょうか。
大きな音で音楽などを聞かない。
人との距離が近い場所では音量に配慮する。
こういった当たり前の心がけが、骨伝導ワイヤレスイヤホンという便利なツールを、快適に活用するポイントと言えます。
デメリット2:骨伝導ワイヤレスイヤホンは音質が低いことがある
音質については、筆者が実際に骨伝導ワイヤレスイヤホンを使用する中でも特段の違和感や問題を感じないので、こういった意見もある、として紹介します。
先にもお伝えしたように、聴覚を司る最も高性能な機能を有した器官は耳です。骨を介して伝わる振動は、鼓膜を介した振動には敵いません。
鼓膜を通さないで音を認識する骨伝導イヤホンは、音質が劣る傾向があると言われます。どうしても音質にこだわりたいということであれば、骨伝導ワイヤレスイヤホンは不向きかもしれません。
しかし繊細な鼓膜を守りながら、気軽に音を楽しみたい場合は、骨伝導ワイヤレスイヤホンは便利なツールです。骨伝導ワイヤレスイヤホンなら耳にフックを使って直接装着するため落下しにくいメリットもあります。軽いランニングやジムでの筋トレの際にも、落下せず使えました。
どの程度まで音質を求めるか、またどのようなシーンで使いたいか、によって、耳の穴にはめ込むタイプのイヤホンと使い分けるのもよいでしょう。
最後に
骨伝導という仕組みの安全性がわからないと購入には踏み切れない、と調査した結果、心底納得して購入した骨伝導ワイヤレスイヤホン。
使用してみて、その使用感に大満足しており、今回の記事作成に至りました。
完全充電すれば、7時間程度使用できます。
使用時間の長い筆者は、もう一つ骨伝導ワイヤレスイヤホンを購入を予定しています。自宅で使用するイヤホンは、完全に骨伝導ワイヤレスイヤホンにするつもりです。
筆者はゲオの店舗が近いので出向きましたが、在庫があればオンラインショップでも購入できます。
気になる方はぜひ一つ手にとって使ってみてください。耳が圧迫されないのにクリアに音が聞こえる快適さに感動すること請け合いです。
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